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2012年2月 7日 (火)

「コロの物語」ー挿入歌とおじさんの思い出

 ネットで、「コロの物語」の挿入歌を見つけました。

 ナレーションで、「連続放送劇、乾信一郎作・・・・・」と聞いて、本当にラジオで放送されたんだと、思わず実感しました。小柳徹ちゃんの歌声を聞きながら、当のおじさんを思いだしました。

 学生時代にお邪魔すると、いつもおばさんが出迎えられて、ちょっとうす暗い書斎に通されたものです。その書斎のドアーには、猫のための小さな出入り口があり、猫の部屋がありました。ですから、書斎のあちこちには、猫の置物や写真(カレンダーも)などが、所狭しと書籍の間を埋め尽くしていました。

 今考えると、不思議。そこには、犬の関係の物は一つも無く、犬のイの字もありませんでしたね。

 乾のおじさんは、すらっと背が高く男前でした。戦後のGHQが来て、NHKの番組内容まで検閲させられ、苦労話をよく聞きました。おじさんは、英語が出来たので、日本人通訳が「いい加減な通訳説明をするので、本当に困った」と、当時を懐かしんで語ってくれたものでした。敗戦国の悲しさかな、自由に物語が書けない時代、ユーモアと言う言葉に託して、何かを語っていた筈です。

 そんな会話のひと時、当時「スプラッシュ」と言うオレンジジュース?や美味しい紅茶をご馳走になり、さすが作家ともなると、飲むものも違うんだなーと思ったりしたもんです。おばさんから、「おじさんは結婚したての頃は、渋谷を方で風を切って歩いて、とてもカッコ良かったよ」、と聞いたことがあります。多分「新青年」に勤めた頃でしょうか。奥さんは、とっても綺麗な優しい方でした。

 さて、わが家の「コロの物語」マンガ編の第一集が、見当たりません!!!

Koro011 これが、表紙です。マンガは、永嶋慎二氏。、

 中学生時代から漫画家になることを決意し、新聞配達や豆腐売りの仕事をしながら漫画を描き、1952年、『さんしょのピリちゃん』で漫画家デビュー。その後、有名な『トキワ荘』に出入りするようになり手塚治虫の面識を得て、手塚のアシスタントとなった人です。

P1100271_21 でも、第2・3・4は工藤市郎氏のようです。

工藤市郎略歴:1922年(大正11年)徳島県生まれ。本名。号は素人(そじん)。1946年(昭和21年)中国より復員後、大阪で酒井七馬の主催するデッサン会に参加。代表作に『七色仮面』、『アラーの使者』等・・・がある。

 さて猫好きのおじさんが、何で犬を主人公にした話を書いたのか・・・?ネコを主人公にした「キャンデーの冒険」もあるようですが・・・。生前、そのことを聞かなかったことが、残念でもあります。ユーモアに考えると、この物語には、ネコは似合わないですよね。

 青春時代の小説、「敬天寮の君子たち」の表紙裏に「なぜ、ユーモア小説を書くのか。それは、世の中が悲しくてさびしいからにほかならない」とありました。

P2070002  これは、おサカナの父、故ナマズさんがS61年に80歳の記念に撮影した一枚。。そして、「敬天寮の君子たち」4回目(S62年)の出版に用いられた写真でもあります。

 晩年、意識も朦朧としていたおじさんを、お見舞いに行ったことがありました。そのとき時、おじさんはベッドに縛られ、その姿を目にして私は悲しく辛くて唖然としてしまいました!でも、近づいて「おじさん、おじさん、マーちゃんだよ」て言ったら、返事が返って来たのです。そして、ハッキリと

 「自分は、誰かに必要とされていなければ、生きる意味は無い・・・」

と聞き取れました。こんな、「悲しくてさびしい」言葉が、私との最後の言葉でした。思えば、いつも会っている時に、ユーモアは聞いたことが無かった。

 どこかに、この第一集がないものか、おじさんへの思い出に申し訳ない気がして・・・・。5月になったら、富士のお墓に言ってみるつもりです。勿論、おばさんもそこに眠っています。

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コメント

お尋ねします - 乾信一郎氏のご親戚でしょうか?現在、亡き祖父の足跡をたどっておりますが、その過程で「シアトル生まれ、幼少期に熊本に戻り、九州学院に進学」という祖父より2歳下の乾氏を知り、親近感がわきました。乾氏が残されているものから祖父の熊本時代をイメージ出来たらと思い、検索していて本ページにたどり着きました。もし乾氏の熊本時代についてご存じであれば教えてください。よろしくお願いします。

投稿: 田中希代子 | 2013年8月23日 (金) 15時29分

希代子様 乾のおじさんとは自分が幼少の頃からうっすら記憶がある位で、私が20歳頃に良く遊びに行きました。おじさんの幼少の事は、著書である「敬天寮の天使たち」がベストと思います。夏目漱石の「坊ちゃん」ではありませんが、おじさんの私立九州学院旧制時代の、青春物語りです。これが良いと思いますが・・・?
フェイスブックしていれば、Mastukiyo Kiyamaで検索して貰えれば、メールアドレスや電話が出来ますが。
ご協力しますので、宜しくご連絡を待っています。おサカナ

投稿: 希代子様 おサカナより | 2013年8月26日 (月) 22時33分

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